開発の軌跡 < 2. 食物難消化性多糖(食物繊維)の免疫増強作用 < 3. 糖鎖の豊庫 ヘミセルロース

2. 食物難消化性多糖(食物繊維)の免疫増強作用
 食物中には種々の多糖類が含まれています。食物難消化性多糖(食物繊維)の多くに免疫増強作用、いわゆるBiological Response Modifier(BRM)としての働きがあることが報告されています。多くの場合はin vitro test(生体外試験)における効果ですが中には経口摂取による効果が認められているものもあります。近年、消化管粘膜の免疫器官としての機能が評価されつつありますが、それと合わせて食物中の難消化性多糖の腸管刺激による免疫強化作用の研究も進んでいます。食物として摂取した難消化性多糖(食物繊維)は腸管を通過するか、また一部は吸収され免疫システムに影響を与えていると考えられます。

3. 糖鎖の豊庫 ヘミセルロース
 ヘミセルロースは図に示すように複数の糖から構成される複雑な構造を有する多糖です。種々な糖鎖をその構造中に有しています。まさに糖質の豊庫と言ってよいと思います。近年、糖鎖の研究が進み、生命現象の発現と維持における糖鎖の役割と重要性が認識されて来ています。特に多細胞生物の細胞表面に存在し、細胞間の情報伝達に重要な役割を果たしている糖鎖は生体の恒常性の維持に欠かせない組織です。
 ヘミセルロースは主としてアラビノース、キシロース等の五炭糖(ペントース)で構成されています。この組織は植物特有の組織であり、我々人体を構成している糖は六炭糖(ヘキソース)です。通常、食物として摂取する野菜や穀類のヘミセルロースは腸管を通過し排泄されます。ヘミセルロースが吸収され、糖鎖として細胞と関わりを持つことはあまりないと考えられます。しかし、ヘミセルロースをパーティクル化し五炭糖の糖鎖が体内に吸収された場合、生体で相当刺激的な反応が起こることが予測されます、また、その糖鎖構造中に免疫細胞と親和性を有する糖鎖が存在すれば安定した免疫強化作用が発現すると考えられます。ヘミセルロースはそれ程魅力的な潜在機能を有する糖鎖の豊庫なのです。


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