開発の軌跡 < 4. ヘミセルロース誘導体の免疫強化作用B
Cオリザロース
 ヘミセルロース誘導体の第4世代物質がオリザロースです。オリザロースは古代米の一種である紫黒米のヘミセルロースをセルラーゼ、ヘミセルラーゼを用いて加水分解し低分子化したものです。さらに酵母を用いて発酵させることにより、グルコースが消費され、キシロース、アラビノース、ガラクトース等の活性糖鎖が濃縮されています。活性成分は多糖からオリゴ糖にまで分布し、強い免疫賦活作用を有しています。さらに副産物として発酵中に産生されるガンマアミノ酪酸(GABA)や表皮中に存在するポリフェノールの一種であるアントシアニン(アントシアニングルコシド)が抽出されます。GABAは精神安定作用、アントシアニンは抗酸化作用を有していますのでオリザロースは多くの老化現象を改善することに働くことが推察されます。
○加藤陽治先生との出逢いと弘前大学との共同研究

 加藤陽治先生は糖質の研究についての日本の代表的な研究者の一人です。特に多糖の構造決定と機能性に関する研究が専門で平成19年度日本応用糖質学会学会賞を受賞されています。現在弘前大学の教授で副学長の要職に就かれています。加藤陽治先生にはヘミセルロースのパーティクルの構造決定の研究で縁を持たせて頂きました。弘前大学は地域共同開発センターを有し、産学官のエネルギーを結集し、青森県の農産資源の高度利用と工業技術の振興を図っています。加藤先生はそのセンター長を務めていらっしゃいました。そして加藤先生のグループの研究の一つとして紫黒米を用いたGABAを豊富に含有する食品の製造方法に関するものがあり、パテントになっておりました。オリザロースの基本的な製造方法はそのパテントに基づくものです。即ちオリザロースは弘前大学とオリジン生化学研究所の共同研究によって開発されたものです。オリザロースはオリジン生化学研究所の登録商標ですが、弘前大学発の最初の機能性食品として脚光を浴びました。そして現在も弘前大学とに共同研究体制は維持されています。
○オリザロースの生理活性に関する基礎研究

 オリザロースの生理活性は多方面から検討されて、マクロファージ活性、ナチュラルキラー活性、抗腫瘍活性、抗酸化作用、抗ストレス作用等について有効性が確認されています。また、これらの作用の他のBRMとの強さの比較も行っており、有効性の面においても進化していることが示唆されています。
 ・The peculiarity of fermented ancient rice and possibility to application as the functional food: H. Maeda, S. Ito, T. Miura, Y. Kato, The Japanese Academy for Clinical Complementary and Alternative Medicine (2006)
○臨床試験について

 オリザロースの有効性のエビデンスは主としてヒトへの作用を集積しています。癌の治療の補助作用については米ぬかアラビノキシラン誘導体(MGN-3)と同一試験を行い、その作用性を少量摂取による有効性の比較を中心に検討しております。現在迄の経過ではオリザロースはMGN-3の約2分の1の量で有効であることが示唆されており、in vitro試験での生理活性の強さの差が臨床応用の場面での有効性として反映されていると考えられます。オリザロースは従来のヘミセルロース誘導体と同様、癌治療の補助の目的で有効に働くことは当然ですが、オリザロースが臨床的に最も期待される場面は高齢者のQOLの改善であると考えています。
 そこで癌、自己免疫疾患、慢性肝炎等の重篤な基礎疾患を持たず、通常の生活を維持している高齢者(平均年齢72歳)で生活習慣病の治療で通院している患者を対象としてオリザロースによる主として生活の質(QOL)の改善効果の発現を目的とするケーススタディを行いました。試験期間は3ヶ月でQOLに関するアンケート調査と免疫パラメータの測定および血清の生化学的検査を行いました。結果は睡眠、食欲、体調等のQOLの改善傾向が認められ、その主な原因として免疫システムの調整作用が示唆されるデータが得られています。
 ・The Safety and QOL improvement Effects of the Oral Administration of the Fermented Oryza Sativa subsp japonica in Elderly People: S Hirose, K. Omura, N. Shiraishi, H. Maeda, Geriatric Medicine 45(11);1469〜1475,2007
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