低分子米ぬかアラビノキシラン研究レポート < 米ぬかアラビノキシラン誘導体と、いわゆるアラビノキシランの違いについて

米ぬかアラビノキシラン誘導体(米ぬかヘミセルロース誘導体)
Modified Arabinoxylan from rice bran (Modified Hemicellulose from rice bran)と、いわゆるアラビノキシランとの違い

                                    潟Iリジン生化学研究所
                                  所長 農学博士 前田 浩明

1 米ぬかアラビノキシラン誘導体とアラビノキシランについて
 米ぬかアラビノキシラン誘導体(米ぬかヘミセルロース誘導体)とは、米ぬか由来の水溶性多糖およびオリゴ糖の複合体です。

●米ぬかのヘミセルロースが酵素の加水分解反応によって切り出され、水溶化した酸性糖です。それらの酸性糖はアラビノース、キシロース、ガラクトース、グルコース等で構成されているヘテログリカンの複合体で、アラビノース、キシロース等の五炭糖を多く含む酸性糖複合体であることから、便宜上、米ぬかアラビノキシラン誘導体または米ぬかヘミセルロース誘導体と呼ばれています。
●アラビノキシランとは、主としてイネ科植物に存在する多糖でヘミセルロースの構成成分です。イネ、小麦、トウモロコシ、笹等に多く含有されています。
●構成糖はアラビノースとキシロースですが、植物によってアラビノースとキシロースの割合が違いますので、物理的、化学的、生化学的性質は起源植物によって異なります。

2 免疫強化作用と多糖(ポリサッカライド)に関する研究
@レンチナン、OK432の実用化
 1970年代担子菌のβ-1・3-グルカン(レンチナン)や溶連菌のアラビノガラクタン(OK432)が実用化され、酵母成分ザイモザン(β-1・3-グルカン)、パン酵母成分(α-1・6マンナン)等、微生物の細胞膜に由来する多糖の免疫強化作用が注目されつつありました。
A植物成分に由来する新しい免疫強化多糖の発見
 1980年代に入り、シイタケ菌の固体培養物から得られた新しい免疫強化多糖が前田浩明、菅野延彦等によって発見され、報告されました。(Cancer Letter 17; 1982)報告された多糖は従来のそれとは異なり、アラビノースやキシロースを主な構成糖とするヘテログリカンであることが特長でした。また根本的に従来の多糖と異なる性質は経口投与による有効性が確認されたことでした。
 この結果は、免疫強化食品の開発の可能性を示唆する重要な研究報告であり、本物質の発見が米ぬかアラビノキシラン誘導体の研究の始まりです。今から約30年前のことでした。

3 米ぬかアラビノキシラン誘導体の認知
@Modified Arabinoxylan from rice bran(米ぬかアラビノキシラン誘導体)として最初に記載された論文が1998年にパブリッシュされた、マンドゥー・ゴーナム博士による論文(Int.J.Immunotherapy)でナチュラルキラー細胞の活性化に関する作用が詳細に記載されています。
Aその後、次に示す数多くの論文がパブリッシュされていますが、それらの論文からアラビノキシランが独り歩きをし、あたかもアラビノキシランそのものに強い免疫強化作用があるかの如く伝えられ、誤解を招いています。

B米ぬかのヘミセルロースに由来する誘導体を含有する物質は次の4物質のみです。加工方法と特性を示します。

4 生理活性物質
@微量で生化学反応を惹起する物質を生理活性物質と称しています。米ぬかアラビノキシラン誘導体(米 ぬかヘミセルロース誘導体:オリザロース®)はmg単位で免疫強化作用を発現する生理活性物質ですが、アラビノキシランにはそのような作用はありません。
A笹やトウモロコシの種皮に由来する高濃度のアラビノキシラン含有物を免疫強化食品として、アラビノキシラン量を米ぬかアラビノキシラン誘導体と比較し、セールスポイントとしてその有用性を論じていることは全く的が外れています。異なる物質を別の尺度で比較することは無意味です。生理活性物質の作用は量ではなく、活性の強さで決まります。
Bオリザロース®の成人に対する経口摂取による有効量は10mg未満と考えられています。このことは β-1・3-グルカン製剤の投与量(静注)が1mgであることから考えても食品としての有効性は際立っており、興味深い結果です。
Cいわゆるアラビノキシランは、起源植物を問わず、ミリグラム単位で摂取しても免疫系への作用は期待できません。但し、グラム単位で摂取した際、食物繊維として整調効果や血糖調節作用が期待されますが、このような作用は特に精製されたアラビノキシランに求める必要はなく、1kg数千円程度の食物繊維素材で十分だと考えます。

5 オリザロース®は稀少な物質
経口摂取により、腸管を通して免疫強化作用を発現するには次の条件が必要です。オリザロース®はこれらの条件を満たすことができる稀少な物質です。

1. ヘミセルロース誘導体はペントース(五炭糖)のかたまり
アラビノース、キシロース等の五炭糖が主な構成糖。私達の身体を構成している糖は、主にグルコース、ガラクトース等の六炭糖。キノコや酵母の多糖はすべて六炭糖です。
2. ヘミセルロース誘導体は一部腸管から吸収される
通常、ヘミセルロースは高分子で、すべて腸管を通過し、腸管の内部に入ることはありません。
3. ヘミセルロース誘導体は水溶性。水溶性成分は生化学的反応性に富んでいる
免疫細胞とのアフィニティー(親和性)も高いと考えられます。
4. ヘミセルロース誘導体は多くの糖鎖を有している
糖鎖はマクロファージ、ナチュラルキラー細胞等の細胞表面のレクチンに対するアフィニティーのキーになる可能性があります。
5. 免疫細胞に対する糖鎖のアフィニティーは糖分子中の結合糖鎖の密度によって高まる
オリザロース®の高い活性は低分子化され、結合糖鎖が濃縮された分子構造によるものと考えられます。