シンヤビオジマに学ぶ食物栄養学 < 「病気にならない生き方」のブレイクとその背景 < キーワード「ミラクルエンザイム」とは

・病気にならない生き方」のブレイクとその背景

 「百聞は一見にしかず」とはこのことです。新谷先生は食習慣の異なる米国人と日本人の大腸を35万人も実際に自分の目で見て比較し、明らかに全体的な大腸の様相(新谷先生はこの状態を腸相と呼んでいます。)が異なっていることを確認しています。
このことは疫学的比較腸相調査と言えると思います。家森幸男先生(京都大学名誉教授)はWHOの研究として心疾患と食習慣との関係の世界マップを作成されています。私はこの研究のハワイ島での調査にご協力をしました。家森先生の御苦労とこの研究の素晴らしさを良く存じ上げています。この研究は精密なプロトコールにのっとり、結果は統計処理され、学術論文となっています。この消化器編が「病気にならない生き方」であると思います。

 確かに新谷先生の主観が中心で統計的な分析もなく学術論文でもありません。しかし内容の信頼性と手法とは全く関係ありません。要するに米国人と日本人の腸相の違いは一目瞭然であり、統計処理による有意差を求めるまでもなく「全然違う」腸相であったということです。多くの学者は学術的手法による数値をもとに、その科学性を評価しますが、一見して全く異なる差にそのような手法は必要ない訳で、客観的エビデンスを云々する人達が異論を差し挟んでいるようですが、主観を客観としてみなしてよい程、両国民の腸相には大きな差があったと言うことです。内容に信頼性があるからこそ、根強い人気がありベストセラーになって行ったのだと思います。テレビで素人のパーソナリティーがあたかも見て来たような健康論をひけらかせているのとは全く意味が違います。そして大腸癌を主とする疾患の予防の啓蒙書として平易な用語で生命力とは何かを問いかけ、我々に最も身近な食の重要性を説かれていることが大ブレイクの要因だと思います。

・キーワード「ミラクルエンザイム」とは
 (新谷先生の仮説に対する提言)

 「ミラクルエンザイム」はある仮説のもと新谷先生が考えられた架空の酵素です。即ち人体に存在する約5000種の酵素の原型となる酵素の原型となる酵素の存在です。この酵素が枯渇することが生命力の終わりという大変抽象的な考えです。少々乱暴で唐突な仮説です。到底、基礎生化学の知識を基にしては思いつかない空論です。

 しかし、よくよくこの論理を吟味してみますと、大変味わい深いものがあります。「生命とは何か」「生命力とは何か」という大変複雑で神の領域とも言えるミステリアスなテーマに向かい、生命現象を一つ一つコツコツと突き詰めて行くのが通常のやり方です。この場合時に迷路に入り込み、本質を見失う危険があります。一方、生から死への生体の変化の過程を観察し、その現象の中からある物質の枯渇を想定することも一つの方法であると考えます。新谷先生は腸疾患の発症を腸相というマクロ的概念から予測し証明しています。ミラクルエンザイムも全く同じ発想であり、生命力をマクロ的に理論化しようとしているのが「ミラクルエンザイム」という架空の酵素の設定です。更にこのミラクルエンザイムの枯渇を防ぐ一つの方法として酵素を多く含む食品の摂取が有効であると説かれています。

 これらは全て豊富な臨床経験に基づいていますので否定できません。しかしながら少々乱暴な仮説であることも否定できません。もう少し具体的で現在一般的に共通認識が得られている理論と照らし合わせることによって、より多くの方々の理解が得られるものと考えます。
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