シンヤビオジマに学ぶ食物栄養学 < 牛乳是非論への提言 < おわりに

・牛乳是非論への提言
 (一次機能と三次機能の両面から)

 新谷先生の著書中に牛乳を有害視する表現があり、それに対し乳業業界から反発のキャンペーンが張られ公開質問を突きつけたり、反発論を掲げ売名的な著作を出版している腸内細菌の権威を自認する基礎研究者も現れました。全くナンセンスなことだと思います。
 新谷先生の論理は全て日米両国の30万人を超える臨床的観察をもとにしており、それは統計処理による有意差などという微妙な差を元にしているのではなく「明らかに違う」のです。牛乳や乳製品を大量に摂取している人の腸相が悪いことは事実であり、この観察結果をそのような臨床経験の無い学者やましてや業界の人間が否定することは非科学的で失礼な行為であると思います。

 新谷先生の著書には牛乳の三次機能に関する事柄も記述されており、牛乳そのものではなく流通している加工乳の害を強調されている印象を受けます。牛乳は一次機能的には完全食といえるほど優れた食物であります。ですから乳児に対する栄養素としては充分に母乳と代替でき得るものです。しかし、三次機能の成分については未知な部分が残されていると思います。その象徴的な成分がオリゴ糖です。母乳には特有の8種類のオリゴ糖の存在が報告されています。そのオリゴ糖に共通している糖鎖が血球表面の抗原決定糖鎖と同一であるとのことです。このことは乳児のような未完成の生体には全ての合成酵素が備わっておらず、後天的に獲得する形質について、食物が大きな役割を演じており血液型のような形質がスムーズに得られるには母乳の影響が大きいのではないかと思います。このオリゴ糖の存在は母乳の重要性を示唆するものと考えます。母乳によって育った子供はより多く母親の形質を受け継ぐものと思います。また免疫面でも乳児に対して母乳の果たす役割は大変大きなものがあります。未熟な免疫系においては牛乳たんぱく質は異物として認識される危険性があり、成長過程におけるアレルギーの増大させる恐れがあります。また乳児は母乳の持つ免疫能を母乳を介して伝達することも事実です。母乳中に存在するマクロファージは感染に対して無防備な消化器を病原菌から護ります。また乳児自身の免疫獲得を促進する成分も母乳に含まれます。母乳で育った赤ちゃんが人工栄養児よりも感染症にかかりにくいのはそのためです。このような事実を考えると、やはり牛乳は牛の子供にとって最も適した乳児食であり、人間の子供には母乳が最適であると思います。ですから産婦に対しては安易に代替ミルクに頼ることなく、母乳の分泌を促す栄養指導が行われるべきであると思います。何の疑問も持たず乳児を代替ミルクで育てることは慎むべきであると考えます。学童から成人に対する牛乳の食物としての価値は確かに高いものがありますが、食物には好みがあり、好きな人は食べればよいし、嫌いな人に無理強いすることはないと思います。牛乳以外にも良好なたんぱく源やカルシウム源は数多くあります。

 私は常に食物は偏ることなく広く摂取することを勧めています。牛乳も好きな人はほどほどに摂取すればよいと思います。

・おわりに

 私から最後の提言はもう一つ何らかの形でShinya Biozymaticのフィロソフィーの中に加えていただきたいこととして、食物に対する感謝の気持ちがあります。食物は全て生命体です。それらの生命の犠牲の上に我々の生命は維持されていることを忘れてはいけないと思います。Foodとfeedの違いはその部分だと思います。

 今後の新谷弘実先生のご活躍に期待すると共に、日米両国民の病気減らしにShinya Biozymaticが益々貢献するものと確信します。

 Shinya Biozymaticはポリペクトミーの権威が消化器癌を主とする予防と初期治療に貢献してきた経験を踏まえて考えられたものです。食を中心とする生活習慣と生命力との関係を臨床医特有の発想をもとにして仮説を交えながら構築した太く長く生きる健康体を獲得する方法です。ある部分、現在広く理解されている栄養学に矛盾すると思われる記述もあり、誤解を招きかねないことから、その部分を補う目的で本文を記述しました。本記述は機能性に基づく新しい栄養学に立脚し科学的に根拠を示し理論構築しました。またさらに私自身が長年培って来た機能性食品開発における豊富な経験をもとにした解説と仮説も加えました。
 いずれにしましても外科の臨床医が食に対してこれだけ深く解説をされ、さらに一般の国民に対し、病気にならないための意識を高め、アメリカ人のような体型や体質にならないよう啓蒙されている姿勢に対し敬意を表します。
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